日にち 10月の3連休
場所 鹿苑角きり場
鹿の角きりは、立派に角が伸びた雄ジカを捕まえて、角を切りおとす豪快な行事。伝統の衣装に身を包んだ人たちが、昔ながらのスタイルでシカを捕まえる、奈良らしい興味深い行事です。
角きりは、3日間にわたって、1日5回ずつ行われます。観覧は完全入れ替え制で、中学生以上1,000円。けっこういい値段ですね。
まず、ねじりはちまきにはっぴ姿の「勢子」(せこ)という人たちが、赤い旗のついた棒を持って、ターゲットの雄ジカを何頭か角きり場に追い込みます。角きり場の中にも勢子がいて、角きり場の塀沿いに1列に並んで、シカが走る「トラック」を作って待機。
追い込まれて「トラック」沿いに走るシカの角めがけて、竹と縄を使って作った、「十字」や「だんぴ」と呼ばれる昔ながらの捕獲道具を投げつけて、角に縄をひっかけます。シカの動きが鈍ったころを見はからって、縄をつかんで、場内の柱に巻きつけます。シカが動けなくなったら、数人がかりで捕まえてゴザの上へ。
シカの準備ができたところで、神官の格好をした「角きり役」の登場。まず、シカを落ち着かせるために、水を飲ませます。ちゃんとシカをいたわるあたり、さすが神の使い。それから、ノコギリで角を切りおとします。切りおわったら、シカを放して1回戦終了。切った角は、神様に供えられます。
鹿の角きりは、江戸時代に始まった行事。秋はシカの発情期なこともあって、角が生えたシカが町中を歩いていると町民も危ないし、シカ同士がケンカして怪我したりするので(それがシカの本来なんでしょうけど・・・・・・)、角を切り始めたとのこと。はじめは町中で切っていたそうですが、そのうち春日大社の参道で、その後昭和4年から鹿苑の「角きり場」でやるようになりました。
奈良公園の名物といってもいいシカがらみの行事だし、昔ながらの「神事」のスタイルでやるあたり、いかにも奈良らしい行事です。