奈良公園のシカを知るうえで欠かせない、知る人ぞ知るマイナースポット、鹿苑（ろくえん）。「角きり」の舞台になるほか、最近一般公開も始まって、奈良のシカの知られざる一面を見られるかも。
鹿苑は、春日大社参道の途中、広大な芝生にシカが群れ遊ぶ飛火野のはじにあります。観光コースから外れていて、道もはっきりしないし、飾り気もなくてものものしい感じ。それもそのはず、最近まで非公開だったところで、もともと観光地ではないんです。
鹿苑は、ケガをしたシカ、病気のシカ、妊娠したシカ、生まれたばかりの子ジカが保護されているほか、畑を荒らしたりした「悪いシカ」を収容している施設です。新聞に「病院兼刑務所」なんて書いてありましたけど、ナイスな表現ですね。
もともとシカのための施設で、見どころではなかったんですが、最近一般公開が始まりました。奈良公園でケガしたり病気のシカを見る機会はほとんどないですが、こうやって保護されているんだ・・・・・・と、いつも見ているシカの意外な一面を知れる、意義深い試みですね。
特に人気なのが、6月の子ジカ公開。生まれたばかりのかわいい子ジカを見られる、貴重な機会です。「公園デビュー」する前の小さなシカを見ること自体、これまでできなかったことですね。運がよければ出産シーンを見ることもできます。
鹿苑は、奈良の秋の名物行事「鹿の角きり」の舞台でもあります。鹿の角きりは、立派に角が伸びた雄ジカを捕まえて、角を切りおとす豪快な伝統行事。いつもはひっそりしていて、シカたちがのんびり過ごしている鹿苑が、このときだけは盛り上がります。